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| 数理統計の基本>例外発見の切り札!信頼区間 |
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2006-06-09 20:03:50 | カテゴリ【ここがポイント!投資判断で使う数理統計!】
前回、ヒストグラムの作り方と数理統計でよく使う分布について解説しました。それらは標準偏差を使って有効な分析をするのに必要な前提知識です。今回は、標準偏差と平均、そして分布を使って例外発見をする方法を解説します。
実験における測定値の誤差を始め、正規分布をすると仮定できるデータが多く存在します。相場に関するデータも正規分布を仮定して分析する事が出来ます。ここで言う相場に関するデータとは、株価・出来高から導き出される様々なテクニカル指数の事です。株価自体・前日比は言うまでもなく、乖離率・ボリュームレシオ・RSI等多くのテクニカル指数に正規分布を当てはめる事が出来ます。正規分布に近い動き方をするからです。厳密には正規分布と一致しませんが、実用上のメリットが十分得られるのです。
正規分布は平均値(算術平均)を中心とした左右対称の釣鐘型の分布です。ここで平均値をμ(ミュー)標準偏差をσ(シグマ)と呼ぶ事にします。それでは、正規分布においていくつかデータの範囲を決めて、その範囲に含まれるデータの個数を求めましょう。
【データの範囲とそこに含まれるデータの個数】
- μ - σ から μ + σ の間に含まれるデータの個数は、全体の約68%である事が知られています。
- μ - 1.645×σ から μ + 1.645×σ の間に含まれるデータの個数は、全体の約90%である事が知られています。
- μ - 1.96×σ から μ + 1.96×σ の間に含まれるデータの個数は、全体の約95%である事が知られています。
上記の性質を使って、例外発見をするにはどうすればいいでしょうか?μ - 1.645×σ から μ + 1.645×σ の範囲を考えてみましょう。この範囲には、データ全体の約90%が含まれています。つまり、ほとんどの場合この範囲に収まるのです。この範囲をはずれる場合は、全体の約10%しかありません。ここでμ - 1.645×σ から μ + 1.645×σ の範囲を「通常範囲」と仮定しましょう。ほとんどの場合は「通常範囲」内に収まります。「通常範囲」をはずれたデータを「例外」と仮定しましょう。「例外」は全体の約10%しかありません。
こうやって範囲を決めてやると、すなわち「通常範囲」と言う基準を決める事で「例外」の検出が可能になるのです。これが「信頼区間」です。「通常範囲」=「信頼区間」なのです。「通常範囲」=「信頼区間」から外れたデータを見つけた時に、どんな行動をすればいいのか考えれば良い事になります。
「信頼区間」を応用しているテクニカル指数があります。とても有名なテクニカル指数です。それは「ボリンジャーバンド」です。「ボリンジャーバンド」で言う所の「σライン」「2σライン」とは標準偏差σの事を指しています。株価が取りうる「信頼区間」が「ボリンジャーバンド」なのです。「ボリンジャーバンド」の「σライン」は、計算期間(25日や75日)における約68%が含まれる範囲であり、「2σライン」は約95%が含まれる範囲(正確には95.44%)となっています。「ボリンジャーバンド」を「上抜け」または「下抜け」した時に、空売り仕掛けるあるいは買いを入れる、といった使い方をする訳です。
「信頼区間」の考え方は、他のテクニカル指数にも当てはめる事が出来ます。相場環境や銘柄の特徴によってテクニカル指数の「信頼区間」は千差万別です。個々の銘柄、時期毎に「信頼区間」を求めて判断をした方が賢明です。「とりあえず30を切ったので買い」「75超えたから一応売り」といった現状を考慮しない「ステレオタイプ」な判断をするよりマシなのは言うまでもありません。「信頼区間」の考え方を取り入れる事で、従来のテクニカル指数を進化させる事が出来るのです。
以下の「信頼区間」は実用上も役に立つので暗記しておいて損はありません。
【実用上頻繁に使う信頼区間】
| μ - σ から μ + σ |
全体の約68%が含まれる。 |
| μ - 1.645×σ から μ + 1.645×σ |
全体の約90%が含まれる。 |
| μ - 1.960×σ から μ + 1.960×σ |
全体の約95%が含まれる。 |
(μ:データの算術平均 σ:データの標準偏差)
【補足】
正規分布以外の分布を使った「信頼区間」について解説します。
膨大な母集団からサンプルを取り出して算術平均を求めます。サンプルの算術平均は、t分布を取る事が知られています。t分布の形は、サンプルのデータ数によって変わります。サンプルのデータ数が 100以上になると正規分布にかなり近い形になります。その為、t分布を使った「信頼区間」は、サンプルのデータ数によって変わるので注意が必要です。
実用上では、サンプルのデータ数毎のt分布を表した「t分布表」を使います。 t分布表から「信頼区間」を求めて、母集団の平均値を推定します。主に従来の平均値と現在の平均値を比較検討する際に使います。例えば、広告を打つ前の売り上げ平均値と広告を打った後の売り上げ平均値を比較して、広告効果を測定する場合等です。広告を打った後の売り上げ平均値が、広告を打つ前の売り上げ平均値の信頼区間を上回っていれば「広告による売り上げ増加が確認出来た」と言えるのです。
膨大な母集団からサンプルを取り出して標準偏差を求めます。サンプルの標準偏差は、χ二乗分布を取る事が知られています。χ二乗分布分布の形は、サンプルのデータ数によって変わります。t分布と異なり、サンプルのデータ数が増えても正規分布には近づきません。t分布と同様にサンプルのデータ数によって「信頼区間」が変わるので注意が必要です。
実用上では、サンプルのデータ数毎のχ二乗分布を表した「χ二乗分布表」を使います。χ二乗分布表から「信頼区間」を求めて、母集団の標準偏差を推定します。主に従来の標準偏差と現在の標準偏差を比較検討する際に使います。
例えば、工場の機械整備を実施する前の製品重量の標準偏差と、機械整備後の標準偏差を比較して、機械整備による効果を検証する場合等です。機械整備後の標準偏差が、整備前の標準偏差の信頼区間を下回っていれば、「工場の機械整備によって、製品重量の標準偏差(ばらつき)は小さくなった」と言えるのです。
それでは、次回からはテクニカル指数のおさらいに入りたいと思います。数理統計の考え方を踏まえて、従来のテクニカル指数を分析したいと思います。
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